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クラフト2007観戦記 杉本武巳


今年も世界最大のドックショークラフトが、3月8日から3月11日の4日間、英国バーミンガム市で開催されました。クラフトは一年ぶりの訪問です。テリアグループは10日土曜日の開催でしたので、今回は金曜日の夜にバーミンガムに入り、土日の2日間ゆっくりとショーを楽しみ、月曜日と火曜日にフランクフルトで仕事をして帰るというスケジュールを組みました。

エアデールの今年のエントリー数は101頭でしたが、特にロシアからの出陳頭数の多さが目に付きました。また、観客も非常に多く、通路などは人でごった返し、前に進むのに人をかき分けて行くといった具合でした。観客のほうもロシア人の多さがやたら目に付きました。
今年のクラフトのハイライトは何といってもAM.CH JOVAL ANGEL’S KISS (コールネームKrissi)のベストオブブリード(BOB)です。
彼女の父親はAMCH.EVERMAY'S HIGHPERFORMANCEで、2005年頃からアメリカで圧倒的な強さを見せています。母親はAMCH.Joval Angel Fireで、JOVAL犬舎の基礎犬でもあるEng & Am CH Jokyl Flashbackの娘です。
JOVAL犬舎は昨年の“つうしん32号”でも紹介しています。獣医師であるDr.Valeriaによるオーナーハンドリングです。オープン牝組で最初に全犬がリングに並びますが、その時のKrissiとValeriaのコンビは実に見事でした。ベストパートナーとはまさにこのことを言うのでしょう。Krissiは完全にValeriaを信頼しきり、その姿は生き生きとしており、すばらしいテンペラメント(気質)をリングで如何なく発揮していました。審査員が一瞬釘付けになったのが私にはよく分かりました。KrissiのBOBは観客の誰をもが納得することができたことと思います。
Valeriaにはもう一つ驚かされたことがあります。普通ならここでイギリスチャンピオンを狙って、Krissiをそのままイギリスに置いて帰る人が多いと思いますが、彼女はそれをしませんでした。後から彼女からその理由を聞いてみました。その答えはこうでした。「Krissiはホームドックです。彼女(Krissi)と私はいつも一緒です。だから、英国に来るときも一緒、帰るのも当然一緒です。私には彼女を一人でケンネルに預けることなど絶対に出来ません」。
今回のクラフトでは、骨格構成だけでなく如何にテンペラメントが重要かを改めて再認識することができました。また、犬とオーナーとの関係とはどうあるべきか、そしてドッグショー参加の理想の姿を改めて見せてもらいました。

さて、話をショーに戻しましょう。牡のベストはDoraemi犬舎のDORAEMI SERGEANT PEPPERでした。父親はEng.CH Saredon Open Fire、母親はDoraemi Moonlight Sonataです。彼はまだ1才9ヶ月程の若犬で、彼がベストドッグに選ばれたときは、多くの観客から驚きの声が一斉にわき起こりました(私もですが、誰もがオープン1席のLux CH. Desmond Van T Asbroekがベストドッグだと思ったみたいです)。
そして、リザーブドッグ(牡)とリザーブビッチ(牝))は、ルクセンブルグチャンピオンの Lux CH.Desmond Van T Asbroekと、ロシアチャンピオンのRus CH. Brait Lend Be My Destinyがそれぞれ獲得しました。

今年のクラフトは、ベストオブブリードがアメリカ、ベストドッグが英国、リザーブベストドッグがルクセンブルグ、リザーブベストビッチがロシアと、実に国際色豊かな結果となりました。これで3年続けてベストオブブリードが外国勢に持っていかれ、少し寂しい気もしますが、これがクラフトなのでしょう。
もちろん、この4頭以外にも素晴らしい子達はたくさんいました。ジョッキルやスターガス、サレドンといった、いつもの顔ぶれ以外、たくさんの素晴らしいエアデールが目に付きました。改めて層の厚さを感じさせられたクラフトでもあったと言えます。

ベストドッグ
Doraemi Sergeant Pepper

リザーブベストドッグ Lux CH. Desmond Van T Asbroek
リザーブベストビッチ
Rus CH. Brait Lend Be My Destiny
Terrier Band Sharivari(ロシア)
Nedella The Diamond
Magwyr Be Dazzled
Stargus Aurora
Jodean Pied Piper
 
Cibrenin Gwion Bach
人でごった返すパドック
ベストビッチ審査風景 
テリアグループ審査風景

ジュニアハンドリングコンペティション(各国を代表するジュニアハンドラーがハンドリングを競い合います)

KITAの審査風景。エントリー数は155頭ととても多く、ギャラリーもにぎやかでした  
秋田犬の審査風景。エントリー数は21頭で、AKITAに比べるとかなり少なめでした。
クラフトの楽しみは、自分のお気に入りの犬種を見ることだけではありません。会場の何カ所かでオビディエンスのデモンストレーションが開催されています。たまにはのんびりと見学するのも
良いものです。また、ディスカバードッグというコーナーもあります。このコーナーにはあらゆる犬種が勢揃いしています。それぞれのブースにはボランティア達の手による飾り付けと、そして彼らの愛犬達がしっぽを振りながら訪れる人たちを出迎えてくれます。
もちろんショッピングはクラフトの楽しみNO1です。会場内には数え切れないほどの店が出店していて、見て回るだけでも実に楽しいものです。 また来年も是非訪れたいと思います。