Home / エアデールテリアとは
生まれながらの 性質の悪い犬はいるのでしょうか?答えはNOです。何か問題行動などがあるとしたら、その子の不注意によるものか、飼い主の世話が行き届いていないのか、或いは、病気が原因で生じていること以外には考えられません。エアデールテリアは家族の一員として申し分なく順応できる犬種です。好奇心満々の心優しき道化師エアデールテリアは、常に周囲に喜びと笑顔を運び、深い愛情をもたらしてくれることでしょう。そんなエアデールテリアの気質に触れる度に、どうしてもっと早くこの犬種に出逢い、生活を共にしていなかったのだろうと悔やんでしまうのではないでしょうか?

物事には裏表、正否がありますから、冷静にエアデールテリアのマイナス面をじっくり考えて見ましたが、どう考えても思いあたらないのです。この素晴らしい犬種の欠点を見いだすことのできる方はいらっしゃいますか?エアデールテリアのファンシャーのみなさんは、もうすでにエアデールスピリットの世界へ足を踏み入れ、その虜になっていることと思います。いつかエアデールテリアと共に過ごすことがなくなったとしても、そのスピリットは生涯心の中に留まり、宝物となります。凛とした「キングオブテリア」、トリミングがちょっぴり必要なムクムクの「テディベア」、どちらも私達が大好きなエアデールテリアです。そんな私達は、エアデールテリア抜きでは自らの日常生活や家庭のことを語ることなど出来ないかもしれませんね。

いつもの椅子に座って足下の床を見つめていると、その場所が大好きだった最初のエアデールテリア、ジェムの子犬時代を思い出してしまいます。ジェムは何かお願いごとがあると、前足で私の足をポンポンと優しく叩いて呼びました。「なぁに?」と顔を覗きこむ度に、そのキラキラした瞳にいつも見とれてしまったものです。そしてジェムは言うのです。「ねぇ、遊ぼうよぉ!」「ギューって抱っこしてくれる時間だよー。」「お腹空いちゃった」。ジェムの前足のぬくもりが懐かしく、愛おしく、一緒に過ごせた時間に感謝の気持ちで一杯です。

イギリス、ロブロイド犬舎
Janet Huxley     July 28th 2002

解説(Janet Huxley

一般的外観

表彰台に登るエアデールテリアには、誇張されていたり、望ましいバランスからはずれている点があってはなりません。他のテリア種で見受けられるような誇張によるスタンダードからの逸脱があってはならないのです。評価対象項目は、サイズと構成のバランス、強靱さ、気質、快活さとパワーです。キングオブテリアであるエアデールテリアとしてのタイプと気質を兼ね備えた印象を呈することが望まれるのです。

エアデールテリアは、相対的に四角く構成されている犬種であり、胴の長さ(肩のポイントからお尻まで)は、キ甲から足先までの長さに等しくなければなりません。前脚は長く、ショートバックであることが望ましいとされており、快活でスピード感溢れるコンパクトな印象を与えます。どの部位においても不適当な長さや締まりのない体型や印象は好ましくありません。

頭部
頭部は長く力強く、煉瓦のような形、フォーフェイスとスカルの長さは等しいとされています。ブリーダーの中には、マズル(口吻)が前述のスタンダードから逸脱した長さの犬を輩出しているところもあります。このような構成になってしまうと、ストップが全くない状態の頭部となってしまいます。
フォーフェイスとスカルは、同じ面になければなりません。時折、ダウンフェイスの子を見かけますが、望ましくありません。両耳の間には適度な幅が必要です。狭すぎると弱い印象になり、幅がありすぎると下品な印象となってしまいます。チーク(頬)はフラットかつ良く発達していることが好ましいです。フォーフェイスは、鼻へ向かってほんの少しだけ先細のラインを描きますが、眼の手前は良く発達していなければなりません。
マズルは、非常に力強くあることが求められます。上顎・下顎共に深く広く、丈夫な白い歯を備えていなければなりません。スタンダードにおいて、シザーバイトと呼ばれる正しい咬合が求められておりますが、水平咬合(vice bite)は容認されています。ただ水平咬合の犬に対して批判的なジャッジも中にはいます。

上顎が突出していたり、下顎が突出している不正咬合については、歯並びをチェックすることによって容易に確認することができます。はっきりとした隙間が上顎と下顎の間にある場合、上顎が突出しているよりは、下顎が突出している方が幾分ましであると言えます。(下顎のケースの方が多い)
眼は小さく(小-中)、黒色に近い暗色で、楕円形、凛とした鋭敏な表情であることが好ましい。「見えるということが肝要なのだから、瞳の色を取り沙汰することにどんな意義があるのだろうか。」と書かれた記事がありました。しかし、明るい色の瞳ではシャープさが失われ、エアデールテリアらしさが失われてしまうということを我々は知っているのです。耳はV字型で、頭頂部より若干上方で折り畳んでいます。ハウンドイヤー(耳の折れ線部がたちあがっていない耳)や、大きすぎる耳は好ましくありません。・・・・

首からボディにかけて
首は、適度な長さのアーチ型が良いとされ、肩へと流れるようなラインで続いていきます。皮膚のだぶつき等のない緊張感のあるすっきりとしたネックが良いとされています。横から見てみると、均整のとれた首から、肩へ向かって徐々に巾が広がっていくラインが顕れているのが好ましいです。

適度な筋肉がついたボディ、頭を高く持ち上げ、誇らし気にたたずむ姿がエアデールテリアの本来の姿です。肩は後方に傾斜し、フラットですっきりとしたラインであることが好ましい状態です。

上部前脚は短く、急勾配なラインです。肘を胸郭の前方へ促し、側面から見てみると、前胸が殆ど見えない(又は全く見えない)、すっきりとしたラインが首から脚まで形成されています。肘は胸の近くに保持されることが好ましいですが、前後の動きがスムーズにできなくてはなりません。前脚は骨量豊かで、コートの手入れが行き届き、どのアングルから見ても真っ直ぐでなければいけません。

パスターンは短く垂直、足先は丸く、厚く弾力のあるパッド、つま先は緩やかにアーチ状を呈し、握りがかたいこと。

ショートバックであることは、エアデールが備えるべき望ましい特性とされていますが、短すぎてもいけません。肩の位置が極端に不適当であると、ストライド(歩幅)を制限してしまうことから、犬の行動を損ない、体力も消耗させてしまうといった不具合が生じます。このことが素早い方向転換などの能力を制限してしまうという持論の方もいますが、私はそうは思いません。使役犬としてエアデールテリアを飼っている人の多くは、極端なショートバックを好みません。耐久性とスピードが求められる場合については、長い腰の方が適しているため、私はこの意見に賛成です。

肋骨は程良くカーブした状態で、肘までの深さが必要です。この選ばれたものたちの世界においては、なにごとも丁度良いことが要求されます(それは、殆ど幸運というものかもしれません)。成犬における肋骨の深さは、肘まで達していることが望まれます。肋骨の終点から股関節との間は短いことが望ましい。

前方から見た場合、胸部は深くあるべきですが、広くてはいけません。前脚は真っ直ぐ平行であることが好ましいです。

 

臀部はフラットで、尾は慣例的に断尾が施され、正しい方向へ保持されることが望ましい(上部が後頭部に向かうこともある)。臀部が長いと、尾は犬の背面側に少し寄ったところから立ち上がることになります。逆に臀部が下がっていると、必然的に尾のセットは低くなってしまいます。エアデールテリアは、正しい臀部、強く平面的なトップラインを備えていることがスタンダードにおける重要なポイントとされており、このいずれかが損なわれてしまうと、大きな欠点になります。犬を側面からみてみると、このことが良くわかります。

側面と後部の両方から見た時に、ファーストサイ(大腿部)とセコンドサイ(下腿部)の筋肉がほど良く発達していなければなりません。 ファーストサイとセコンドサイはかなり長く、後膝は良く曲がり、ホック(飛節)へ自由な動作と長いストライドをもたらしていなければなりません。ホックは地面に近い位置にあります。

犬が歩いている時も立ち止まっている時も、両脚のホックが近すぎても離れすぎていてもいけません。ホックの長さは通常スタンスの巾によって決まります。 ホックのポイントが内方へ向いていて、お互いが触れている状態にあるとき、これをカウホックと呼称しており、しばしば筋肉の不足が見受けられます。上記とは逆のパターン、外向きのホックの犬については、筋肉がつきすぎで、後膝とつま先が内側に曲がっています。美しくはありませんが、力強いと言えるかもしれません。横からホックのポイントを見たときに、ホックは臀部からほんの少しだけ後方に垂直にひいたライン上にあるのが好ましいとされています。

歩行/行動
前脚が短いエアデールテリアの体格が原因のためか、馬のように高く前脚を持ち上げて歩く子がいますが、この歩行は間違いであるばかりか、体力の無駄でもあります。デイジーを刈り取るような感じで、前方へ低く長いストライドが理想的です。

後躯の正しい歩行は、ホック間のスペースは適度にとり、蹴り上げ方は両脚とも均等かつパッドを十分見せるように日頃から心掛け、ショーリングを美しく歩きましょう。前足の蹴り(前方への)は最小限であることが丁度良いストライドにつながります。この歩行が完成されると、横から見たときに美しいトップラインを見せることができます。首を軽く伸ばした状態に保ちながら、後ろ脚は、前脚の動きに合うようにハンドラーが促していかなければなりません。こうして美しい歩行「詩的な動き」が完成するのです。エアデールテリアは美しい犬です。その気高く美しい姿の前にあっては、多少の欠点もさほど気になるものではないと思います(あまり厳しくあら探しをしないということが大前提ではありますが・・)。あなたの愛犬の美点にいつも目をむけるようにしてください。

コート
エアデールの被毛は、ダブルコート(アンダーコートとトップコート)の状態で、トップコートは堅く密集し針金のような毛質、また、アンダーコートは短く柔らかい状態でなければなりません。コートはフラットに近い状態にあり、硬いコートは若干ウエーブがかっているのが理想的とされています。軟毛や、カールのかかった毛は望ましくありません。コートの色は、ブラックータン、灰色?タンとされています。脚は腿までと膝、体の下部、胸部はタン色。肩にはタン色が多少混ざっても可。耳は他のタン色部分よりも濃いめのタン色。スカルと首に濃い目の色の部分があっても可。両前脚間の白い毛(若干量)は可。

その他
雄犬の体高は、23-24インチ (58-61 cm) 、睾丸は正常な状態で2つ 認められる状態にあること。雌犬の体高さは、22-23 inches (56-59 cm)です。雌犬は、サイズにかかわらず雌らしさが顕れていることが望まれます。また、雄犬は力強い表現が必要であす。大きさは年齢によってある程度変化していきますが、容貌については、キングオブテリアの名にそぐわない下品な表現は不適当であるとされています。

スタンダードに則った仕上がりの良いたくさんの子たちがショーリングに登場し、そのなかで一部サイズ面でスタンダードを下回る出陳犬がいることもありますが、これはとても残念なことです。父母犬共に健康であれば、サイズの問題は繁殖の段階で工夫することが可能です。気質はこの犬種の生命線とも言える重要な要素であり、上記のスタンダード構成要素以上に、繁殖時には考慮していかなければなりません。

エアデールテリアは心優しく、繊細な気質だけではなく、テリアスピリットを備えています。他犬から対決を挑まれようとも、飼い主の命令によって自制することもできます。(そういった状況を整え、テストするのは難しいですが)エアデールテリアは万能犬です。フィールドでも働き者の使役犬として、ガードとして、ハンターの助手(時には自分が)として、ユーモアたっぷりの家庭犬として・・・・どの場面でも、どのような目的にも順応し、こなすことができます。この犬種は、私達の理想的な仲間なのです。